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Call out,Call up.
待ち合わせ場所に見当たらない人物に苛立ちながら、アリババは携帯の呼び出し音を聞いていた。
何度目かの音の後、ぷつりと繋がった音がして。
『……もしもし』
「あっ、カシム! お前今どこにいるんだよ?!」
『いきなりでけえ声出すなよ、耳いてえな』
「じーかーん! もう過ぎてんだぞ! 買い物するって言っただろ!」
『怒鳴らなくても聞こえるっつの』
焦るアリババとは対照的に、電話口から聞こえるカシムの声は至極冷静……というか面倒そうで。
それがまた、苛立ちをあおる。
また声を荒げそうになって、それをぐっと抑えながら。
「なあ、来るの、来ねえの? 来ないなら一人で行くし。今どこなんだよ」
「『ここ』」
「!!」
電話口の声が真後ろからも同時に聞こえた、と思った刹那、ぐいと腕を引かれていた。
予想のしなかった場所から負荷がかかった為にふらつきかけた足元を、カシムに腕を支えられることで何とか保った。
「え、あれ?」
「俺そこのコーヒー屋入ってるって、メールしたけど」
「嘘、マジで? 来てない」
カシムが示したのは、待ち合わせ場所がよく見えるだろう場所にある店で。
おそらくそこからアリババの姿が見えたから、出てきたのだろう。
慌てて携帯を確認するが、やはりメールは来ておらず。眉を寄せながらセンター問い合わせをしていると、カシムがふっと溜め息を吐いた。
「お前さあ、携帯変えたら? こないだも変な時間にメール来てたじゃん」
「うっ、だ、だってまだ動くしさ……」
「はい決まり決まり。俺と同じのに機種変な」
「ちょっ! お前の新しいやつじゃんか! 幾らすると思って……」
慌てて言うが、カシムは有無を言わさない様子で。
アリババの腕を引くと、そのまま歩きだした。
「同じやつなら使い方教えんの楽だろ」
「えー……でもなあ……」
「今日みたいのならまだしも、緊急時に連絡つかねえと心配する。つってんだけど?」
少しだけ、不機嫌そうな声で言い切られた。
言われてみれば、自分がカシムの立場なら同じことを考えるだろう。
今までも心配かけてたんかな、と少し反省しながらカシムを見やり。
「じゃあ、そうする」
頷いたアリババは、気付かなかった。
同じ機種、ということは、はからずしもカシムと「お揃い」になってしまうという事実に。
それを散々からかいたおされたりするという事に。(ジュダルとかジュダルとか、あとジュダルとかに!)
まあ、それでも……仲好き事は、美しき哉?
END
リアル携帯の機種変を悩んでいたらぽろっと出てきた話。
いいなあ現パロ…楽しいなあ幸せだなあ…(色々病んでいる)
まぁカシアリがきゃっきゃしてたらいいんだけどね!!