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甘え曜日。(マギ荘)

風邪引いてもタダでは起きねえぜ!
むしろタダでは寝ないぜ、か?
…みたいな勢いで風邪ネタ。

カシムとアリババとジュダル。
三人でわちゃわちゃしてる話。
 

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甘え曜日。


 熱が出た。
 季節外れのそれに、最初は風邪だと気付かずに放置していたのが悪化した要因だったらしい。
 結局寝込む羽目になってしまい、熱の所為かまとまらない思考でぐるぐると落ち込む。
 だがそれも長くは続かず、まさしく落ちるという表現が相応しく眠りに引き込まれていった。


「アリババ、起きれるか」
「うー……うん、平気」

 次に意識が浮上したのは、カシムの声でだった。
 痛み乾いている喉で返した言葉は掠れていて、顔を覗き込んでいたカシムが顔を顰めるのが見えた。
 ああゴメン、そんな顔すんなよ、聞こえるより酷くないんだからさ。
 届かないと知りつつ、内心で言う。

 カシムはアリババが体を起こすのを手伝ってくれて、更に枕元に置いていたペットボトルを手渡してくれた。
 こくりとそれを飲むと、冷たい水が喉を潤すのが分かる。
 ほっと息を吐くと、カシムがさりげない仕草で頭を撫でた。
 分かりやすく甘やかされるのはくすぐったくて、けれど熱の所為か弱り気味の心にも体にも、それは優しく浸透していくようだった。

「雑炊作ったぞ」
「ありがと。あー、いい匂い……」

 鼻が詰まってなくて良かった、と思いながらカシムから手渡された椀を受け取る。
 ほこほこと湯気を上げる雑炊の中身は、実家に居た頃に母が出してくれたものと変わらない。
 思わず、ふっと笑っていた。

「つーかさ」
「あ、なんだジュダル来たのか。マスクしといてな? 伝染ったら大変だから」

 いつの間に来たのか、ジュダルがアリババの横に座り込んでいた。
 おそらくはいつものように壁の穴を抜けてきたのだろう。最早日常になってしまい、今更それを指摘する事もなくなっていた。
 カシムが部屋の端に置いてあったマスクを手に取り、ジュダルに向かって投げる。
 受け取ったジュダルは、渋々ながらもそれを着ける。

「……別に、いーけど。つーかお前、飯とか作れたんだ」
「テメェと一緒にすんな。一通りは出来んだよ」
「いっつもしてねーじゃん。アリババがやってっとこしか見たことねーけどぉ?」
「出来ねえとしねえは違うんだよ。出来ねえ奴に何言われてもなあ」
「出来るのにしねー方がヤな奴じゃん。俺は出来なくてもべっつに困んねーしー」

 多分、マスクをしていなかったら舌の一つも出していたのだろう小憎たらしい響きで、ジュダルは言う。
 今日は何か機嫌悪いなあ、と思いながら、アリババは特に気にすることなく雑炊を口に運んでいた。
 この程度のやり取りは男所帯では珍しくもないので(正確にはジュダルはお隣さんなのだけれど)、今更慌てたりも気にしたりもしない。
 むしろコミュニケーションの一種なのだと思っていた。

「……おいし。カシムの味も、すっかりうちの味だよなぁ」
「まあ、おばさん直伝だからな。俺たちのレシピ」
「そういうのって、何かいいよな。何だろ、嬉しい、ってのかなあ……」

 所謂「おふくろの味」が同じというのは、やはり特別な気がする。
 ふふふ、と含み笑いをしつつ雑炊を口に運んだ。
 小さい頃から、熱を出した時はずっとこの味だった。実家を離れた今でも同じ味が食べられるなんて、凄く幸せなことだと思う。
 熱の所為か食べる速度はいつもよりゆっくりだけれど、食欲は思ったより落ちていないようだった。
 この分だと、今晩ゆっくり休めば明日には熱も引いているだろう。

 と、右袖をくい、と控えめな強さで引かれた。
 顔を向ければ、ジュダルがじっとアリババの持つ椀に視線を注いでいる。
 目は口ほどにものを言う、なんて昔の人はよくぞ言ったものだ。
 今のジュダルがまさしくそれで、どこかきらきらとしているように見える目は、俺にもちょうだい、と語っていた。

「これはダメ。風邪伝染るから。カシム、鍋にまだ残ってるだろ?」
「あるけど。お前自分で出来んの?」
「出ー来ーるっ!」

 立ち上がったジュダルが、流しの方へ跳ねるように歩いていく。
 機嫌が良くなかったのは、どうやら空腹だったからのようだった。今日は天気もあまりよくなかったし、外へ買い出しにも行かなかったのだろう。
 常日頃から菓子以外にも食べ物を買っておけとは言い聞かせているのだが、未だに改善の兆しはなかった。
 ジュダルの備蓄はと言えば、基本がカップ麺と諸々のスナック菓子だ。
 部屋の向こうで、鍋の蓋を開けたらしい金属同士が擦れ合う音がする。
 つい今し方作ったものだから、温め直す必要もないだろう。

「ニコ中ー、ここにあんの使っていーのー?」
「いーぞー。っつかお前零しそうだから、やっぱ俺やるわ」

 話しているうちに段々不安になってきたらしい。
 立ち上がったカシムがジュダルの元へ向かうのを見て、小さく笑う。
 何だかんだで、カシムはお兄ちゃん気質なのだ。
 ……勿論、言葉通りジュダルによそわせるのが不安だった、というのも本当なのだろうが。
 そんなやり取りをBGMにもくもくと食べていると、ジュダルがひょこりと顔を覗かせた。

「なあなあ、あーんってしてやろっか」
「そこまで酷くない。あと、流石にそれは恥ずかしい」
「なーんだ、つまんねーの」
「……お前が寝込んだらしてやるよ」
「マジでっ? 約束だかんなっ!」

 皮肉のつもりで言ったのだが、どうやら通じなかったらしい。
 この年になってあーんってされたいのか。
 思うが、ジュダルのどこか子供っぽい性格を鑑みると、甘やかされるのが好きなのかという結論に至った。
 でっかい弟が出来たみたいだなあ、と微笑ましく感じる。

「無理じゃねえ? バカは風邪引かねえだろ」

 碗を片手に一つずつ持ったカシムが、そんな事を言いながら戻って来る。
 お前自分のぐらい持ってけよ、と苦情を言われても、ジュダルはどこ吹く風だ。
 ジュダルの基本スタンスは、自分のしたいことしかしない、であるらしい。
 それでも最近は色々言ったおかげか、大分生活のルールを覚えさせてはいるのだけれど。
 まあ、根本的に形成された部分までをも変えるのは至難の技だろう。

「バカって言う奴がバカなんですーぅ」
「その言葉が既にバカだ。バカ」
「あ、また言った。お前もバカだバカ。いただきまーす」
「はいはい。アリババ、食い終わったら冷えピタ変えとけ。新しいの買ってあっから」
「んー。なあジュダル、美味いだろ」
「……まずくはない」

 食べながら、至極不本意そうに言ったジュダルの顔がおかしくて。
 アリババは思わず噴き出してしまった。
 傍から見ると特殊で不思議な関係に見えるだろう、自分たち三人の関係が、まるで家族のように思える。
 そう思えることが、ひどく幸せに感じられた。
 甘やかされて、少し感傷的になってしまったようで。
 僅かな羞恥と、けれどそれを覆い隠して余りあるほどの歓びを覚える。

 たまには甘えるのも、悪くない。
 そんな事を考えた、とある日。

END



こういう! 話が! 書きたくて!!
っていうのがマギ荘です(笑)
ありえないなんてアリエナイ、を呟きながら、ね……
いいじゃない、三人でご飯とかいいじゃない!!
たーのしかーったぞーっと。
概ねマギ荘はこういうノリです。着いて来てくださいお願いします(ぺこり)
 

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