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「HEROは好きだよ。だって男だし。」 (マギ荘)

カシムとアリババとジュダル、三人でわちゃわちゃしてる話第二弾。
テレビを見つつぐだぐだ喋ってるだけ。
会話の内容が分からなくても大丈夫かとは思いますが、分かるとより一層お楽しみ頂けるようになっております。

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HEROは好きだよ。だって男だし。
(タイバニを見る男三人)(今日は5話です)


 ジュダルが103号室に居座っているのはいつもの事で、更に自分の部屋の如く寛いでいるのもいつもの事だ。
 いつもと違うと言えば、元々の部屋の住人であるカシムとアリババも含め三人ともがテレビを食い入るように見つめている事だろう。
 カシムは携帯片手に少しけだるげに、アリババはコーヒーを淹れたマグを両手で抱えるように持ちながら目を輝かせて、ジュダルはテレビ前にごろりと寝そべりながら。
 それぞれ姿勢や表情は違えども、テレビに向けられた目線は動かない。
 やがて。

「っはー……今日も面白かったな!」

 マグの中身をくっと呷って、アリババは感嘆の言葉を漏らした。
 コーヒーはすっかり冷えていたが、興奮し盛り上がった心ではそれすらもあまり気にならず。
 アリババの言葉に、机の向こう側で寝転んでいるジュダルが、ぐっと拳を突き上げる。ちなみに位置的にアリババからはジュダルはその手しか見えない。

「ヒーロー物って燃えるよなー!」
「つうかお前らピンチの時に声上げすぎ。うっせぇ」
「カシムはそういうトコクールだよなあ。バニーちゃんか、バニーちゃん気取ってんのか」
「えっダメ! バーナビーは俺のー!」

 がばり、起き上がったジュダルがぴっと手を上げて宣言する。

「えっお前バニー派? 意外。どっちかっつーとワイルドタイガー好きそうな気がしたけど」
「なんでー。バーナビーいいじゃん、クールだしー、ちょっと影あるカンジとか。あ、コーヒーもうない」
「はいはい、お茶にするからな。カシムもそれでいいだろ」
「ああ。つーかお前あれだろ、自分がクールとは程遠いが故の憧れだろそれ」

 カシムの指摘に、確かにそうかも、と納得しつつ机の上のマグを持って流しへ向かう。
 始まる前に一度お湯は沸かしたから、それを使えばいいだろう。
 急須やらお茶の葉を出している間にも、カシムとジュダルの会話は続いていて。

「そーぉ言うお前は誰派なワケー?」
「あぁ? んなもん、スカイハイ一択だろ。性格には難ありだが、あの能力は色々応用効くだろうしな」
「スカイハイなー。空飛べんのいいよなー。まさしくヒーロー! ってカンジだよなー」
「俺さー」

 湯呑にお茶を回し注ぎしながら、会話に混ざる。
 隣りの部屋ではあるが、特に声を張り上げることもない。
 そもそもがそんなに広い間取りでもないので、隣りの部屋に行こうが会話は成立するのだ。

「スカイハイとファイヤーエンブレムがコンビ組んだら強いと思う」
「炎と風か。いいじゃん! どっかで来るかもしんねーな!」
「今の段階だと難しそうだけどな……」
「ああ、ロックバイソン狙いだから?」
「それもあるけどさ……」

 苦笑しつつ、お茶の入った湯呑を持って居間に戻る。
 湯呑を受け取ったカシムが、アリババの表情を見てああ、と一つ頷いた。
 伝わったらしい。

「ブルーローズとセットで女子枠扱いだからだろ、今んトコ」
「ぁあー……」

 ジュダルの何とも言えないトーンでの返答に、思わず笑う。
 納得してしまうのだが、何となく納得出来てしまうのも嫌だ、という絶妙な声音だった。
 気持ちは分かるだけに曖昧に笑いが零れる。
 自分で淹れておいて言うのも何だが、先程までテレビを見つつ騒いでいたせいもあってか口に運んだお茶は暖かく美味しかった。

「一応ドラゴンキッドだっけ? あれも女子なんだろ」
「にしたって今んトコ出番少なすぎだろ。しかもあっちはなんかこう、ショタとロリの狭間を彷徨っているっつーか……」
「セクシー系来るとしたら、敵側で来んじゃねえの」
「あぁー!」
「来そうだなーそれ。能力者集団の敵とかさ!」
「誰か寝返ったら面白いよな」
「いっそあのディレクターが敵側の幹部とか」

 まだ明かされていない部分の予想も含め、話は尽きない。
 共通の話題で盛り上がれる、というのは楽しいものだ。
 色々と語り倒して、ふと。

「そういやさ。俺はバーナビー、ニコ中はスカイハイだろ」
「ああ、そういや聞いてねえな。アリババ、お前誰派だっけ」

 余計な事聞きやがってぇぇ!!
 内心で思いつつ、へらりと笑って。

「え……いやあ、平等に皆好きだけどー」
「あからさまに目ぇ逸らしといてそのセリフはねえわ」
「いって。家庭内暴力反対ですぅー」
「うわ、うっぜ。マジうっぜぇから締めっかなマジで」

 マジでって二回言ってますよカシムさん!
 ……とは突っ込めなかった。
 言葉の物騒さとは裏腹に、カシムは笑顔だ。
 いっそ胡散臭いほどに見事な笑顔だ。
 だからこそ、怖い。物心ついた頃から一緒にいるアリババには、その笑顔の恐ろしさが身に染みている。
 ざっと血の気が引いたような気がして、慌ててばたばたと首と手を振る。

「わわわわ、言うって、言うから!」
「さっきスカイハイの時も推してたし、ファイヤーエンブレム? 別にいいんじゃねえ? 一話ん時カッコ良かったよな!」
「あ、うーん……」

 ジュダルのフォローなのか予想なのかの言葉も、ありがたいやら的を外しているので微妙な気分やら。
 二人の視線を感じ、ああこれは逃げられないか、と悟ったアリババはお茶を一口啜って。
 すう、と一つ息をしてから口を開いた。


「……折紙サイクロン」


END?



「コアだな! そしてコアだな!」
「つうかマニアック? 活躍のかの字もなくね、折紙」
「ううううるさいよ! 見切れ頑張ってんじゃん! スポンサー命じゃん! ヒーローなのに能力が微妙とか、愛すべき奴じゃん!」
「おっもしれー! っつかニコ中と住んでるくらいだもんなー、お前もフツーじゃねえよなあー」
「オイそりゃどういう意味だ」

……多分ENDLESS!




ジュダルは正統派、カシムは能力重視、アリババはフィーリング。(多分毎回こっそり折紙を探してる)

まあ折紙が好きなのは私なわけですが。
次点がファイヤーエンブレム、スカイハイと続きます。
……あれ、主役どこいった(笑)
タイバニ見てない人にはよく分からん話で申し訳ない。
でも一人一回は名前を出すっていう自分的目標は達成したぞ!(笑)
電車の中とかで男子高校生が延々と訳の分からない話をしているじゃないですか。
ああいう体の話が書きたかったわけです。
 

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