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切っ先に咲く花の色

アリババ受界隈がシャルアリ師弟で盛り上がっている108夜が公開中(9/9現在)だというにも関わらず、マイペースに105夜から妄想した話を出してみたりします。
105夜のとある出来事から龍→アリの今後の可能性を妄想したらこんな話できちゃいました。ていう。

!注意!
105夜ネタバレあり
流血表現あり
・所謂ヤンデレです
・龍→アリ

以上がオッケイの方はどぞー。
作中にはそんなにネタバレないですが、あとがきっぽい所でがっつりネタバレてるのでね。

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切っ先に咲くの色


 突然膝が折れ、すぐには何が起きたのか分からなかった。膝を着く、を通り越し座り込んでしまった自身に驚き目を瞠る。
 慌てて立ち上がろうとする脚が、がくがくと痙攣してアリババの意思を拒んだ。
 動かない脚に驚き、焦れて拳を握る。

「な、に……」

 零れた声もまた、掠れ震えていた。
 自身の身に突如として訪れた異変に途惑っていると、背中側、腰のやや上辺りに痛みが走った。
 じわりと広がる痛みが脳髄にまで伝わり、意図せず呻きが洩れる。
 痛みを訴える場所に手を当てると、湿った感触が伝わった。顔の前へ持ってきた手のひらは予想通り赤く濡れていて、自分の身に起きている事だというのに他人事のように痛々しいな、と考えた。

「っ、く」

 攻撃を受けたのだろうと、それはすぐに分かった。
 だが、誰から、何からかが不明だった。
 何故なら、今この場にいるのはアリババと。

「は、くりゅう……?」

 つい先程まで他愛ない話をしていた、白龍と。二人だけなのに。
 呼びながら振り向いたアリババは、ぎくりと肩を強張らせた。
 アリババの眼前に、血塗れの刃が晒されていたからだ。
 座り込んでしまったアリババに対し、白龍はその場に立ったままだった。下げられた手の中に在る刃は、自然とアリババの顔の高さになる。
 白龍がその手に握っていたのは、護身用と思しき細身の短刀だった。
 その切っ先から滴り落ちる赤い雫は、紛れもなくアリババの血で。

 すぐには状況が整理し切れず、アリババは傷の痛みも忘れてぽかんと白龍の顔を見上げるだけになってしまった。
 白龍の佇まいは、いつもと何ら変わりがない。真面目な性格をそのまま表しているようにぴんと伸びた背筋は、まぎれもなく彼のものだった。
 ただ、顔だけが俯いていて、その表情が見えない。
 それが何故か無性に不安で、アリババは思わずその名を呼んでいた。

「……白龍?」

 手を上げかけ、ずきりと傷が痛むのに眉を寄せる。
 背中だから目視は出来ないが、おそらく未だ血は止まっていない。
 だが握られたままの得物を見て、あの長さなら即致命傷という事にはならないだろうと判断した。無論それは、この後ちゃんと止血と適切な処置が行われれば、の話ではあるが。
 痛みに顔を歪めながらも、アリババは白龍の手に自身の手を重ねた。
 刺激しないように、そっと。
 自身を傷つけた獲物が眼前に晒され続けているというのはなかなかに腹の底が冷える心地がしたけれど、それ以上に黙り込んだままの白龍が気がかりだった。
 触れた白龍の手は、何故かやたらと冷えていた。

「な、どうしたんだよ」

 白龍は応えない。
 傷の痛みから訪れるものとはまた別に、胸中にじわじわと不安が広がっていく。
 何故なのか理由も明確ではないのに、ただ恐れにも似た感情が湧きあがってくる。
 目の前にいる筈の白龍が、まるでひどく遠くにいるかのような。
 傍らに在るのに、触れているのに、ひどく遠い。それは覚えのある感覚で、だからこそ恐かった。
 この手を離したら、そのまま白龍が離れていきそうな、漠然とした予感が焦燥ばかりを煽る。

「白龍」

 不安を押し隠し、再度呼びかける。
 重ねている白龍の手から、ふっと力が抜けるのが伝わってきた。
 短刀が乾いた音を立てて落ちる。細やかな意匠の施された柄をちらりと見て、こんな状況じゃなければ見惚れるほど美しいものなのに、と少しばかり残念に思った。

「……ぃ」
「え?」
「俺は、貴方のようにはなれない。赦すことなど、出来ない……!」

 ようやく返された白龍の声。常より低い声音で告げられた言葉は、しかし直前まで交わしていた会話の続きなどではなかった。
 何を言っているのかは分からなくとも、そこに込められた必死さは伝わってくる。
 白龍が、何かにひどく追い詰められているようだ、という事も。

「俺は……」

 呟くような声音は、切迫しているようにも、拭い去れない悲哀に震えているようにも聞こえる。
 放っておいちゃだめだ、と半ば衝動的に考えていた。
 今の白龍を一人にしてはいけない、と。

「お前は……ッ、一人じゃ、ないだろ、白龍っ」

 大切な人たちがいるって、そう言ってたのを俺は忘れてない。
 俺だって、アラジンだって、モルジアナだっている。
 一人じゃない。
 独りなんかじゃない。
 お前も俺も、人は誰だって一人じゃない、一人きりじゃ生きていけない。
 言いたいことが沢山あるのに、声が出なかった。
 もどかしく思いながら、握った手に力を込める。伝われと、頼むからこの手をすり抜けてくれるなと、祈り願いながら。

「……アリババ殿」
「っ、う……」

 出血している筈なのに、背が冷たい。感情の昂りと共に溢れ出し頬を伝い落ちる涙ばかりが、やたら熱く感じられた。
 背を伝うぬめる血の感触に、服を洗うのが面倒かもしれないな、と頭のどこかが呟いたような気がした。

「貴方が、そんな風だから、俺は」

 白龍がアリババの前に膝をつく。
 怪我を負っているのはアリババなのに、白龍の方が余程苦しそうな顔をしているように見えた。
 泣きたいのを我慢しているような、何かを呑み込んでいるかのような。
 どうして、そんな顔してるんだよ。

「……はく、りゅ」
「いっそ貴方が、俺を糾弾してくれれば、良かった」

 そうしたら俺は、貴方の存在を切り捨てられたのに。
 アリババに向けてというより、まるで独り言のような調子で白龍は言う。それでいてその声音はひどく苦しげで、聞いている方の胸を締めつけるような響きがあった。
 痛みのせいだろうか、頭が回らない。言いたいことが、山ほどあるのに。
 声が、出ない。
 それでいて傷の痛みはすでに分からず、ただ痺れるような寒さばかりがアリババの意識を支配していた。

 泣き出したいような表情をした白龍の手が、頬に触れてくる。
 その指先が小さく震えているのが分かって、ひどく胸が痛んだ。
 大丈夫だって、言って。この手を握りしめたいのに。安心させてやりたいのに。
 体が言う事を聞かない。
 泥に沈み込むように意識が薄れていく。手放しては駄目だと思うのに、意思も身体もアリババの思う通りにはなってくれなかった。
 上体がぐらりと傾ぐ。
 白龍の手が肩を支えるのが分かった。抱きしめられてるみたいだ、とぼんやり考える。

「貴方は、俺を……憎んでいい、アリババ殿」

 耳元で、白龍の声がする。
 以前にも聞いたことのある言葉だった。だがそれを紡ぐ声音は、あの時とは違っていた。
 震え、不安そうな声にアリババは自身の置かれた状況も忘れてふっと苦笑する。
 バカだなあ、白龍。
 俺はお前を憎んだりしないって、あの時も言ったのに。
 お前がどんな奴かを多少なりとも知った今は、あの頃よりもっとずっと、恨むことも憎むことも出来っこないのに。

 白龍の肩にもたれかかりながら、本格的に身体の力が抜けていくのが分かった。
 自然俯く格好になった視線の先に、影があった。二つ重なった、自分と白龍の影だ。
 だがそこに、ふと違和感を覚える。
 何だろう……腕の辺り。位置的におそらくは白龍の腕に、何かが絡みついているような。
 細くて長い、不気味に蠢くもの。
 何故だろう、それを目にした瞬間生理的な嫌悪感が背筋を駆け上ってくるようだった。
 受け容れがたいものが、目の前にちらつかされているかのような。
 実際の白龍の腕には、何も絡まってなどいないのに。

 ああ、そうだ、あれはまるで。
 蛇、みたいだ。
 そう考えたのを最後に、アリババの意識はふつりと途切れた。



刀の刃にはあらかじめ神経毒みたいなのが仕込んでありましたよ、っていう龍→アリ。
なんだろうこの、追い詰められた白龍がヤンデレへの道を踏み出したみたいな展開は……
105夜で蛇イスナーンに噛まれた白龍を見て一気に妄想した話。
個人的には精神乗っ取りとかより、堕転させるために少しずつ疑念とか黒い感情を植え付け増やしていくようなカンジになるんじゃないかな、と。
まあどうなるか分らんけどね。
あ、アリババくんのこの後は読んだ方の想像にお任せ系です。まあ白龍の言い方から察するに生きてそうですけど。

 

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