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ICOパロ(龍アリ)

PS3でキレイになったICOが出ると聞いて、いてもたってもいられなくなりました。
音楽も設定も世界観も、全部好きなゲームなのですよ。
やりたい…しかしハードを持っていないのであった…がく↓

というアレで、紹介がわりにWパロ小話ー!!
みんな、ICOやればいい。

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ICO PS3版発売記念 イコ=白龍、ヨルダ=アリババ
言葉ではなく


 鳥籠に閉じ込められていたのは、白龍よりやや年上だろう少年だった。
 金色の髪に、透き通るような琥珀色の瞳、歩くたびに裾が揺らめく、白い服。
 どこか現実離れした容貌の彼を探るように伺い見ていると、首を傾げた少年が口を開いた。

「     」
「……えっ?」

 この人は今、何と言ったのか。
 理解出来ず瞬けば、少年は再び繰り返した。

「     」

 先程と同じ音だ。だが、やはり言葉の意味が分からない。
 使っている言語が違うのだ、と気付く。言葉が通じない、それは分からない事だらけのこの城の中で、更なる問題の火種であるように感じられた。
 呆然とする白龍を見て、少年もまた言葉が通じない事に気付いたようだった。
 少し困ったような顔になって、座り込んでいる白龍の前にしゃがみ込む。そうしてから、白龍の膝の汚れをぱたぱたと払ってくれた。

「     」

 そして三度繰り返される、同じ言葉。
 その言葉を理解出来ずとも、今度は意味が分かった。伝わってきた。
 彼は、立ち上がらない自分を気遣い、心配してくれているのだ、と。ようやくその事に気付けた。
 大丈夫か、と。平気か、と。おそらくはそんな意味の言葉なのだろう。

 言葉が通じないから意思の疎通が出来ないなどと、何故考えてしまったのだろうか。
 相手を思い遣る心には、言葉なんて関係ないのに。
 諦め投げ出しかけていた自分を恥じ、白龍は少年に向けて笑ってみせた。大丈夫だから安心していい、と語りかけるように。
 白龍の様子を見た少年の表情が、少し柔らかくなる。
 彼の様子を見ながら、この人は一体どこから連れて来られたのだろうか、と思う。
 聞いたこともない言葉を話す、浮世離れした様相の人。
 どれ程離れた土地から訪れ、そして何故あんな場所に閉じ込められていたのだろう。

「     」

 白龍の不躾な視線に、けれど少年は淡く笑う。
 相変わらず言葉の意味は分からなかったが、伸びて来た手が、その指が頬を優しく擦った。どうやら汚れていたらしい。

「大丈夫、です。俺は、少し丈夫に出来ているので」

 言葉が通じないと分かっていながら、思わずそう答えていた。
 少しでも彼を安心させたい、そう考えたら反射的に口にしていた。
 言ったことを示すように、ひょいと立ち上がる。
 手足を伸ばし、体を捻ってみたりもしたけれど、特に痛む場所はなかった。

 生まれ育った集落の中で、誰より頑丈な身体だった。
 同じ年頃の誰より早く走れたし、少し高い木から落ちても怪我をしたりもしなかった。
 それは多分、両耳の上から生えているこの角に関係しているのだろうと思う。この角があるからこそ、生贄として城に連れて来られたのだ、という事も何となく分かる。
 だけど今は、そんな事はどうでも良かった。
 角の秘密も、城の謎も、自分には関係のない話だ。
 今大事なのは、為すべき事は。

「俺と一緒に、ここを出ましょう」

 二人で、この場所から脱出する。
 言葉は通じないと知りながら敢えて口に出したのは、自身への誓いであり、鼓舞する為でもあったのかもしれない。
 言いながら、白龍は少年に向けて手を差し出す。
 伸べられた手を見下ろしていた少年が、ややあってからそっと手を重ねてきた。
 意図が通じた事が嬉しくて、白龍は思わず少年の手をぎゅっと握っていた。
 握った手は暖かく、柔らかかった。生きている、自分ではない誰かの体温。伝わってくる、微かな鼓動。
 一人じゃ、ない。
 それは白龍の胸の内を何より明るく灯す光のようだった。
 この手のぬくもりがあれば、どこへだって行ける。きっと、大丈夫。

 俺は、この手を離さない。

 誰にともなく誓いを立てた白龍は、少年の手を引き歩き始めた。



PS3版発売、おめでとうございます記念で龍アリでICOパロネタ。
ゲームと小説、両方ちょっとずつ混ぜたカンジになったなぁ。

「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」
ICOのこのキャッチコピーが、凄く凄く好きです。
ワンダの「最後の一撃は、せつない」もヤバイけどね!
角付き白龍を想像したらちょっと可愛いと思ってしまってのこの配役です。
ICO面白いよ!
少女と初めて手をつないだ時に伝わってくる震えは未だに忘れられないわー。(コントローラーが振動する)

 

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