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もののけもの! 「Trick and Treat!」

Trick or Treat!!というアレでハロウィン話です。
パラレルです。
登場人物がそれぞれ妖怪な設定です。
パラレル苦手な方はご注意ください。

アリババ総受けっぽいですが、例の如くカシアリ寄りです。
ティーンズがきゃっきゃしてたら可愛いじゃない、という勢いだけの話なので中身はないに等しいです。ご注意ください。(2回言うた)

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 「Trick and Treat!

【アリババ・狐、カシム・人狼、ジュダル・悪魔、白龍・龍(ナーガ)】


 最近のちょっとしたブームは、獣の姿を取ってくっついて寝ることだ。
 カシムのもふもふの尻尾は心地良くて、何時間だって微睡んでいられる。カシムはそれに対して何か言ってきたりはしないけれど、文句を言うわけでもないので現状に不満を抱いているわけでもないようだと判断している。
 今日も今日とてひっついてうとうとしている所に、来客は唐突にやって来た。

「トリック、アンド、トリートォー!」

 言葉と同時、ドアがけたたましい音を立てて開かれる。
 乱暴な音に驚いたアリババは、文字通り飛び起きた。

「なっ、なっ、何っ」

 咄嗟に人型になるが、驚きと寝起きのせいとで何が起きたかの判断がつかなかった。
 落ち着きなく部屋の中を見回していると、足音が近づいてくる。

「アリババー、おっ珍しい、今日は尻尾出してんじゃん」
「へっ? あ、あれっ」 

アリババを驚かせた張本人であるジュダルは、悪びれる様子もなく顔を出した。そもそもが驚かせたという認識がないのだろうし、例えそれを抗議した所で謝罪するような殊勝な性格の持ち主ではないのだけれど。
 今はそれより、指摘された事の方が気にかかった。
 身体を捻って確認すれば、慌てて人型になったからだろう、ジュダルの言うように尻尾が残ってしまっていた。
 幼い頃は上手く変化が出来なくて獣耳と尻尾が残っているのも珍しくはなかったのだけれど。

「うぅ……お前が驚かすから……」

 頭を探ってみれば、予想した通りそこには獣耳が残っていた。不完全な変化は久し振りで、気恥ずかしいやら落ち込むやら。
 がくりと肩を落とし、とにかくさっさと隠してしまおうとした、その時。ジュダルにがしりと腕を掴まれ、止められた。

「えー、しまっちまうの?」
「……何だよ」
「いーじゃん、萌え狙いっぽくて。出しとけば」
「どこをターゲットにしてる萌えなのかちっとも分からん。アホか」

 呆れながら言えば、ジュダルはアリババを上から下まで眺めて。値踏みするような視線に晒されるのは居心地がいいとは言い難い。
 思わず及び腰になると、その反応すら楽しむようにニヤリと笑われた。
 くそうこの悪魔が、と呟きそうになるが文字通りジュダルは悪魔なので、言ったところで攻撃にもならない事に気付き黙る。ジュダルは悪そうな顔が小憎たらしい程よく似合う。

「んー、俺はこのままでも面白えと思うけど」
「……俺は面白くねーの」
「俺はどちらかと言えば……可愛らしいかと思いますが」
「それもあんまり嬉しくはねえなあ……」

 女子供ならともかく、男としては言われても微妙な評価であるだろう。密かに自身の童顔を気にしている身としては、特に複雑だ。
 額に手をやり溜め息を吐いた所で、違和感に気付いた。

「……んっ?」

 何やら一人、会話に混ざる人物が多かったような。
 顔を上げ、声のした方を見やる。ジュダルの背後、やや離れた位置に所在なさげに立っていたのは。

「白龍?」
「お邪魔、しております」
「えっ? あれっ、えっと……?」
「俺が連れてきたっ。遊び行こうぜー!」 

困惑していると、何故かジュダルがやり遂げたような顔で言い胸を張る。白龍はアリババに向けて申し訳なさそうな顔でぺこりと頭を下げた。
 対照的な様子の二人を見比べ、大体何があったかの予想が付いた。
 おそらくはジュダルが遊びに行くとか何とか言って、強引に白龍を連れて来たのだろう。

「おっ前なあ、白龍困らすなよ!」
「えー何だよ、別に何も言われてねーもん」
「白龍はお前と違うの! お前みたいに図々しくねーの!」
「いーじゃんかよー、だって祭りだろ、今日」
「……祭り?」

 言い切られた言葉に、きょとんと首を傾げる。
 祭りなんてあっただろうか、と。
 問うように白龍を窺うが、彼もまた詳しくは知らないらしく眉を下げ小さく首を振った。

「言っとくけどなあ、俺らの年でハロウィンとかマジでねーからな」
「カシム、起きたのか」
「あんなに騒がれりゃ嫌でも起きるっつの」

 欠伸交じりに答えたカシムが、だるそうにアリババの背に圧し掛かってくる。
 アリババと寝ていた時は共に獣の姿だったのだが、今は人型だ。眠そうに肩に乗せられた頭には、勿論アリババのように獣耳がくっついていたりはしなかった。

「……って、ハロウィン?」
「言ってたろコイツ、入って来た時にトリックだの何だのって」
「そう! だからホラ、菓子寄越せ」

 ずいと手のひらが差し出され、うわあコイツどうしてくれよう、と胡乱げに見てしまった。
 小さな子供がやるならともかく、思春期の男のやる仕草では決してない。可愛さの欠片もない。
 世の中にはこういうのも可愛がってくれるような奇特な人物もいるにはいるのだろうが、残念ながらアリババの趣味嗜好は至って普通だった。
 ジュダルを上から下まで眺めて、ふるりと首を振る。

「……ないわ」
「んだよお!」
「そもそもお前、言ってたの間違ってるし。お前の言い方じゃ菓子貰うけど悪戯もする、になってっかんな」
「……どんだけだよ」 

 微睡みながらも、カシムはジュダルが訪問時に叫んでいた言葉を聞き取っていたらしい。
 菓子を差し出した挙句に悪戯もされては踏んだり蹴ったりではないか。
 呆れた目を向ければ、ジュダルは悪びれもせずそーだっけ、と笑っているばかりだ。
 素で間違えていたのかそれともわざとなのか、その判別はつかない。

「いーじゃんか、白龍の奴ハロウィンしたことねーっつうし」
「え、そうなのか?」
「そうですね、うちの界隈ではあまり縁がないです……」
「そっかぁ……」 

 知らないことが恥ずかしいのか、白龍は肩を落としながら言った。
 種族ごとに慣習が違うのは仕方がないことなのに。
 アリババは少し考えてから、一つ妥協案を出すことにした。

「菓子ねだるのは無理でもさ、何か甘いものでも買って食べるか」
「おっ、そーこなきゃなー!」
「……自分が食べたいだけだろ、お前」
「この時季の菓子美味いもん」 

 カシムの指摘にしれっとした顔で言うジュダルだが、さして悪気があるわけでもないことはアリババもカシムも白龍も知っていたので別段文句は出なかった。
 良くも悪くも、悪魔という種族は自身に素直に生きているものなのだ。
 それに。

「……ま、楽しまなきゃ損、ってとこだよな!」 

 楽しいことは、多分悪戯よりも菓子よりも、極上だ。
 今日も今日とて、さあ。
 楽しみましょうか?


END

 


「いーけどお前、耳と尻尾何とかしてから行けよ」
「……あっ」

 



この面子だと白龍がどうにも空気化してしまう…
ジュダルがよく喋るからなあ。
千夜一夜2にペーパーとして出そうとして諦めたけど陽の目は見せたかった話。
とりあえず耳としっぽなアリババくんが書きたかっただけである。
ナチュラルにカシアリなのはむしろ必然です。

 

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