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サークルHHAAの運営するまったり同人ブログ。
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いざ、知の涯へ

メルクリウスプリティっていうゲームがね、あるんです。
主人公は錬金術師で、瓶の中で手のひらサイズのホムンクルスの少女を育成するっていう。
それのパロ。
世界観とキャラが好きだったので何となく書いてみた。

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いざ、知の涯へ


 父であり、錬金術の師でもあったラシッドが身罷ったという報せを受け取ったのは、アリババが隣国で新たな知識を蓄えている矢先だった。
 アリババの母はもうすでに亡く、父が営んでいた商家を経営している義兄たちとはどうにも折り合いが悪い。アリババとしては血縁としてちゃんと付き合いたいのだが、あちらにはどうにも疎まれているようだった。
 まだ未熟ではあるが錬金術の才はあると父には言われていたし、隣国で世話になっていた研究室からはこのまま続けないかと声もかけられていた。
 その話に乗ろうかと考えていた時だった。
 シンドバッドに、父の研究を引き継ぐ気はないか、という話を持ち掛けられたのは。


「……ここが……」
「そう、君の父君の使っていた研究室だ。先生は、アトリエと呼んでいたよ」

 案内されたのは、こじんまりとした家だった。
 扉を開けて中に入ると、雑然と物が置かれている。生活する空間、というよりも本当に研究の為にばかり使っていたのだろう。
 一通りの生活家具は揃えられているが、台所に置かれた鍋類などが使用されていないだろう事は明白だった。かろうじて埃はかぶっていない、という具合だ。
 入口の正面に当たる部屋の扉は開け放たれたままで(というか床の上にまで積み上げられた本が邪魔をして扉の開閉自体が出来ないようだった)、どうやら主にそこが研究に使用されていたらしい。
 アリババは吸い寄せられるように、その部屋に足を向ける。
 研究に使われていたであろう様々な道具が置かれた部屋で、一際目を引くのは重厚そうな机に置かれた瓶だ。中には透明な液体が容量いっぱいに詰められている。
 アリババが抱え込んでようやく持てそうな大きさのそれは、おそらく。

「試験管……ですか」
「そう、君の父君はここでホムンクルスの研究をされていた。いや、ホムンクルスと共に、かな」
「父の育てていたホムンクルスは、もう……?」
「先生はこの机に伏せるように倒れていらしてね……可哀相に、ホムンクルスはおそらくそれを傍らで見ていたんだろう。俺がここを訪れた時には試験管の中に姿はなかったよ」
「そうですか……父は、ここで」

 呟き、そっと机の上に手を置く。
 使い込まれた机だった。父はここで何を思い、何を見たのだろう。
 その傍らにいたというホムンクルスは、何を。
 道半ばで倒れた父は、どんな想いだったのだろうか。
 アリババは一度目を伏せ、だがすぐに顔を上げた。今は感傷に浸るべき時ではない。

「あの、父の研究というのは」
「これだよ」
「クリスタル、ですか」
「そう、先生はヴァーチャクリスタルの世界を探索しておられた。だが、その研究成果をまとめる前に今回の事態になってしまってね」

 シンドバッドが指し示したのは、試験管の横に置いてあるクリスタルだった。
 試験管から出た幾つかの管がその表面に取り付けられ繋がっている。
 クリスタルの下側には鉱石の部分が剥き出しのまま残り、表面が光の角度で様々な色に変わる様子は研究対象というより金持ちが観賞用に飾っておきそうな代物にも見えた。
 しかしこれは単なるクリスタルではない。
 ヴァーチャクリスタル、と呼ばれるそれは、この世界と異世界とを繋ぐ扉であり境界線のような役割をしている。

 異世界の存在は、錬金術を嗜む者たちの間では周知のものだった。
 この世界とは別次元にあるそれらの世界には、生身で触れ合う事は不可能だ。少なくとも今の研究では異世界に飛び込む術は見つかっていない。
 しかしながら長年の研究成果で、異世界との交流を試みる方法はいくつか発見されていた。
 その一つが、アリババの父が行っていたというホムンクルスを介し異世界を探索する、という方法だった。
 ホムンクルスは試験管の中でしか存在出来ない、ひどく儚く脆い存在だ。少なくともこの世界では。
 試験管に満たされた培養液の中だけで存在を確立するホムンクルスは、その曖昧さ故に他次元と触れ合い関わり合う事が出来るのだ。
 ヴァーチャクリスタル世界の探索、というのはホムンクルスと精神感応させて異世界を見る事が出来る、というものだった。

 アリババは手を伸ばし、そっとクリスタルの表面に触れた。
 当然の事ながら無機のそれは固く冷たい。
 父はこの先に在る世界で何を見て、何を考えたのだろうか。

「シンドバッドさん」

 呼ぶ。
 決意は固まっていた。
 或いは、この部屋を訪れようと決めたその時から。

「俺でよければ、この仕事お引き受け致します」

 父が見た世界を、自分も見てみたい。
 錬金術に携わる人間は、多かれ少なかれ知識に貪欲だ。
 見た事もないものを見たいと思い、知らない事を知りたいと願い、世界の根幹の謎にさえ迫りたいと数式を紐解く。
 アリババもまた、そんな術師たちの一人に名を連ねる者だった。
 知りたい。
 始まりは、たった一つ単純なそんな感情からだったのだ。


めっちゃ物語の始まりですが特に続きません…よ…
酒場の給仕見習いアラジン、研究を初めてすぐの頃に資金提供を持ち掛けて来るイスナーン、皇子でありながら錬金術に憧れてアリババに接触してくる白龍、ラシッドに師事を受けていた同期で同じく錬金術師のジュダル、研究が軌道に乗ってきた頃に生活のサポート役として派遣されてくるカシム、などなどキャストを当てはめて妄想してたんだぜ!


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