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サークルHHAAの運営するまったり同人ブログ。
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夜明けまで、

あなたに贈るネタは【無理矢理】【略奪愛】【可愛くない】【温もりを感じたい】【何処にも行くな】を基にしたマスアリです。

というお題から。
複数課題が出るお題をやるとつい全部詰め込みたくなってしまう…
そして自分の首を絞めるという結果になる、という輪廻から抜け出せません。
このお題は全部入れて正解のやつ…だよね…?






夜明けまで、

「……俺が、無理矢理関係を迫ったと言えばいい」
「はい?」

 唐突に何を言い出すのかと目を丸くし、一拍置いてから今の関係を誰かに咎められた時の話をしているのだと思い至った。
 睦言にしては、随分と色気のない話題だ。
 仰向けに寝転がって若干うとうとしかけていたアリババは、ごろりと半回転しうつ伏せの体勢になった。
 本当は起き上がろうとしたのだけれど、腰やら脚やらが重くて妥協した結果だった。
 肘をつき、少し上半身を起こす。これはこれで腰に軋むような重みを感じたが、我慢出来ないほどではない。
 覗き込んだマスルールの顔は至っていつも通りで、彼が先に告げた言葉が冗談の類ではないのだと知れた。

「それ、無理ありますよ」
「どの辺りが」
「俺が女だっていうならともかく、男ですし。絶世の美形とかならまだしも、別に可愛くもないですし。無理矢理手を出す、っていうのは現実味がないでしょ」

 各々の立場を鑑みれば、片や国を支える八人将、片や国に庇護されている食客、と立場の差は明らかだ。
 確かにアリババは強要されれば逆らえない立場にあると言える。
 しかし何よりも。

「そもそも、マスルールさんがそんな非人道的な事言うような性格じゃないって、俺よりも他の皆さんの方がずっとよく知ってるんじゃないですか」

 マスルールにとっては主であるシンドバッドは勿論、シンドリアの国民だってバカな話だと笑い飛ばすに違いない。
 付き合いとしてはまだそう長くないアリババだって、もし誰かから噂として聞かされても到底信じるに値する話だとは思わないだろう。
 マスルールが無口だけれど優しい性格をしている事なんて、それぐらい周知の事実なのだ。 

「だったら、俺が郷愁の念に耐えきれなくて慰めて貰ったって方がまだ信憑性あるんじゃないです?」
「……それも無理があるだろう」
「俺はまだこの国に来て日が浅いですから、そう人となりを知られているわけじゃないですもん」
「無理だ」
「……言い切りますね」

 実際にアリババを知っている人間ならば荒唐無稽な話だと思うだろうが、そうではないならば分からないだろう。
 少なくともマスルールが無理矢理という話よりかはまだ通る気がするのに。
 頑なに首を振るのを見ながら、このひと意外と頑固なんだなあ、と新しい発見に何だか面白くなってしまった。
 同時に、悪戯心が湧いてそれに対抗してみたいと思ってしまう。

「でも実際、俺とマスルールさんがそういう関係だって知ったら、大体の人は甘やかされて育った王子が温もりを感じたくて傍にいた人に甘えた、みたいに考えると思うんですよ」

 実際の事情はどうあれ、アリババの肩書きはバルバッドの第三王子でありシンドリアに保護された客分だ。
 八人将と食客、という観点から見ればマスルールの方が立場は上だが、王子と一介の将という視点からすればアリババの方が上になる。
 考えてみれば結構複雑なんだな、と今更ながらに思い至った。
 言葉にしてみて、ひやりと背筋が冷たくなるのを感じる。
 忠誠と恋情は違うものだと分かっていながら、まるでマスルールを略取してしまったかのような。
 心のどこかを奪う、という意味で考えれば恋愛はどんな関係にしろ略奪愛になってしまうのだろうけれど。

「俺は、マスルールさんを悪役になんかしませんから。絶対」

 冷えた腹の内を抑え込みながら、笑って言う。
 アリババに注がれるマスルールの視線はいつも通りにまっすぐで、相変わらずきれいな目だな、なんて場にそぐわない事を考えてしまった。
 沈黙はすれど、嘘はつかない。そんな眼差しだ。
 見つめていると心の内側、柔らかい場所を突かれるような気になる。
 触りたいな、と思いその気持ちに逆らうことなくマスルールの頬に手を這わせた。
 目じりに人差し指が触れても、マスルールは微動だにしない。
 アリババは彼に危害を加える気など毛頭ないが、信頼を目に見える形で示されるとくすぐったいようなむず痒いような気分だった。
 嬉しいのだけれど、同時に少しだけ切ないような。

「アリババ」
「はい?」

 呼ばれると同時にマスルールの手が後頭部に回され、引き寄せられた。
 頬に唇が触れ、そのまま抱き寄せられる。

「……マスルールさん?」
「今日はここにいろ。何処にも行くな」
「え」
「……甘えたい気分なんだ」

 大きな手のひらが、ゆっくりとアリババの頭を撫でている。
 まるで犬か猫にでもなったようだ。暖かい手は、重なる体温は、アリババの心をもゆっくりと解いていくようで。
 アリババはゆるりと訪れてきた睡魔に逆らわず欠伸を一つすると、力を抜いてマスルールの肩にこてんと頭を乗せた。
 甘えたいっていうより甘やかしてる、ですよねこれ。
 そう思ったのだけれど、言葉にするよりも前に眠りの波に飲まれた。
 おやすみなさいと言えなかったのを残念に思いながら、代わりに朝にはおはようと言おうと誓う。
 あと数時間はこの手を離さなくていいのだから、それだけで充分だ。

 完全に眠りに落ちる寸前にマスルールが何か呟いたような気がしたのだが、それが事実だったのか勘違いだったのかは分からずじまいだった。

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