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サークルHHAAの運営するまったり同人ブログ。
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あなたに刃をあなたに花を

・デビサバ魔王ルートから妄想した話
・ソロモンの楔を打ち砕くべく、アルサーメンをも含めて世界を繋げて一つにしようと画策した結果組織の頂点に立つことになったアリババ
・アリババに加担する人以外からは悪人だと思われながら、ソロモン及びソロモン及びその意思に順ずる者たちと交戦中
・アリババ側にいるのはアラジン、モルジアナ、オルバ、紅覇、ジュダル含め組織の人間(今回出番あるのはジュダルだけ)





あなたに刃をあなたに花を


 ソロモンが作り上げたこの世界の「構造」全てが間違っているとは言わない。
 元いた世界から切り離され、人々が何も知らない赤子のような状態であった頃ならきっとそれも上手く回っていたのだろう。
 言わば彼はこの世界そのものにとっての親のようなものだ。
 だが子供はいつまでも親に庇護されているだけでは終わらない。
 自身の足で立ち、歩み、考え、進んでいくものだ。
 例え傲慢と謗られようと、それが自然な姿であるとアリババは考えている。
 だから、アリババは決めたのだ。
 世界の人々に背を向けてでも尚、ソロモンの作った仕組みから抜け出す術を探そうと。
 その道がどれ程に険しく、茨の道であろうとも、抗う事を諦めないと。

「よう、機嫌悪そうだなー」
「……分かってて来るか普通」
「俺、普通じゃねーもん」

 飄々とした口調で告げられ、それもそうかと納得してしまった。
 ジュダルの気ままさは生来のものだ。
 意に添わない事を無理にやらせようとして、大人しく頷くような性格はしていない。
 ジュダルの性分は出会った時からそうだったし、世界の有りようが、組織の立ち位置が以前と異なってしまって尚変わることのないものだった。
 ここ数年ですっかり立場も置かれた状況も変化してしまったアリババにとっては、変わらない存在というのはありがたい。
 気まぐれで面白いことが好きなジュダルは良くも悪くも自分に正直だ。
 好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、という態度を隠すような真似はしない。
 今だってアリババの機嫌が良くない事を知りながらも、敢えて傍までやって来た。おそらくは深い思慮などなく、単にからかったら面白そうだとか退屈しのぎだとかそういう単純な理由でしかないのだろう。
 ジュダルにとっては世界がどうのこうのという話など関係ないし興味もないのだろう。
 そんな態度に眉を顰める者もいたりするけれど、アリババからすればジュダルの変わらなさに心のどこかで安堵してもいたりする。
 今のところ本人に面と向かって告げる気はないけれど。言った所で調子に乗るだけなのは目に見えている。

「お前の相手はしないからな」
「はーいはい。無理強いはしねえよ」


 先手を打って釘を刺しておけば、ジュダルはひらりと両手を上げた。
 戦闘狂というわけでもないのだろうが、ジュダルは戦うことが好きだ。それも手合わせや鍛錬といったものを好むのではなく、怒りや憎しみなど感情的なものが宿っている対峙をより求める傾向にあった。
 争いが好きというのもあるのだろうが、自身の力を気兼ねなく解放出来る事自体が嬉しいらしい。
 だから今も、アリババがわざわざ人払いをしていると知りながらどこからか潜り込んできたのだろう。
 あわよくば一戦交える事を期待しながら。


 以前のジュダルならば一度断られたくらいでは諦めなかっただろうが、ここ最近は割と大人しかった。
 少し前にしつこく絡み続けた挙句、最終的に投げやりになり誘いに乗ったアリババと刃を交える事は出来たものの、お互いに加減を忘れ城の一部を崩壊させるという事態を引き起こしてからだ。
 あの時はアリババもジュダルも散々周囲に怒られた。
 特に原因を引き起こした張本人であるジュダルへは厳しい処置が取られ、流石に些か懲りたらしい。とは言っても反省も後悔もしていないのだろうが。
 ちなみにジュダルへの処罰の内容はと言えば、好物である果物の制限と、食事時の野菜の増量である。
 何とも子供じみているが、アラジン曰く単純な事の方が堪えるからね、との事らしい。


「今回は随分と派手にぶつかったんだって?」


 不機嫌の理由を突かれ、アリババはジュダルを睨んだ。
 絡むな、と視線に込めたつもりだが、無論ジュダルがその程度で怯むわけも退くわけもなく。


「べっつに気に病む必要なんてねーんじゃね? 向こうだって多少の犠牲は覚悟の上だろうよ」
「……そういう問題じゃない。俺は彼らと争いたいわけじゃないんだ」
「そりゃまた、オヤサシイことで」


 優しい、と。
 告げられた言葉を反芻し、アリババはふっと笑う。
 世界の大半の人間に恐れられ、忌避され、疎まれている自分に対してかける言葉ではないな、と思ったのだ。
 ジュダルとて知らないわけではないだろうに。
 アリババが、世界の殆どから何と呼ばれているか。いや、知っているからこその皮肉だろうか。


「お前さ、俺が何て呼ばれてるか知らねえの」
「知ってるぜぇ? 魔王、だろ」
「……知ってて優しいとか言うのかよ」
「俺に言わせりゃ、お前みてーに白ルフに取り巻かれてる奴が魔王って呼ばれてんのは納得いかねーもん」


 拗ねた子供のような口調で言われ、アリババは瞠目し黙り込んだ。
 お前もしかして俺に絡んでくるのってそれが理由かよ、そもそも今となっちゃ白ルフも黒ルフもそこまで重要視する事柄じゃないんですけど、など諸々の言葉が思い浮かんだが、アリババはどれも口にしなかった。
 一瞬言おうかとも思ったのだけれど、何だかおかしくなってしまったのだ。
 ジュダルは変わらない。
 知っていた筈の事実に、心のどこかを突かれたような気がした。
 まさかジュダルの傍若無人さに救われる日が来ようなどと、予想だにしていなかった。


「そいつは、ご期待に沿えず申し訳なかったな」
「笑いながら言ってんじゃねーよ。ムカつく」
「お詫びに今度遊んでやるって。暴れてもいいようにさ、アラジンに頼んで結界でも張ってもらおうぜ」


 沈んでいた気持ちを浮上させてくれた礼として、一度くらいは希望に応えてみるのもいいかと思った。
 不審そうな顔を向けてくるジュダルに、俺が本気で頼めば何とかしてくれるだろうし、と付け加える。
 ジュダルは暫しアリババを凝視した後、不意ににんまりと笑って。


「……そういう言い方、魔王っぽいぜ」
「そりゃ、どうも」


 ここは魔王の城だ。
 畏怖され、恐れられ、怨嗟の念をぶつけられる事も珍しくない。
 後世から見て、アリババの行為と選択がどう判断されるのかなど分からないし、知らない。
 ただ、アリババは自身の信じた道を進むのみだ。
 ソロモンのくびきを打ち砕き、今を生きる者たちの手に世界を取り戻す日を信じて。


 

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