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【カシアリIf、宝物庫襲撃で浚っちゃえ★】
「決めてたんだ」
「……なに、を」
炎の爆ぜる、音がする。悲鳴、怒号、足音、建物が焦げて倒れる、雑多な音の何もかもが。
何故かひどく、遠かった。
「お前とこの場所で会えたら、俺は」
心臓の音がうるさい。聞いてはいけない、と警鐘するかのように。
【流星】 2012/1/8
世界が美しいと思ったことなど、一度もなかった。
頭の上でぴかぴかと、やけに能天気に煌めいている星を見ても気分が晴れるはずもなく。
「あ、流れた」
半歩後ろから、そんな呟きが聞こえてくる。その声が震えていることには気付かないふりをして、握った手に力を込めた。
優しくも美しくもない世界から、浚うように手を引いて連れ出してきた。
過去も未来も、全てを手放させてそれでも尚、アリババはカシムを責めないままで。
塞がれた空を見上げて、綺麗だと笑う。残酷さばかりが平等な世界で、繋いだ手の暖かさだけが唯一の真実に思えた。
世界は冷たいばかりだ。
それでも、だからこそ。繋いだ手は離せない。
塞がれた世界の涯に辿り着くまで。きっと、その先もずっと。
【カシアリ】2012/1/8
酔っていたのだ。それはもう、二人ともが。
「ちょっと抱きしめさせろ」
そう先に言ったのはカシム。
それにふわふわした頭で「…ちゅーじゃなくて?」と返したのはアリババだった。
「じゃあお前からしろよ」
「え?」
我に返ったのは、その言葉が頭の中で意味を結んだ時だ。
【ジュダアリ】2012/1/10
ジュダアリへと贈る曲フレーズは『愛しい人よ せめてわたしを切る時は 瞳開けて滅びゆく瞬間まで 看取って(花冠/天野月子)』です。
向けられた切っ先は震えてはいなかった。
それを認め、ジュダルは笑う。
甘く柔らかな砂糖菓子のような愛し方など、知らない。そんなものいらない。
残したいのは、消えない爪痕のような感情だ。
「泣くなよ?」
さいごまで目を開けて見据えていればいい。忘れないように。
【カシアリ幼少】2012/1/11
カシアリへと贈る曲フレーズは『僕の心に咲く花すべて摘み取って 束ねて君に捧げてもいい(ネリの星空/花束P)』です。
売り損ねた、と花冠片手に帰宅したアリババが、マリアムの頭にそれを乗せて笑っているのを見てカシムは何とも言えない心地になった。
そんなもんで腹が膨れるか、と言いかけた言葉を呑み込んだのはアリババの頬が赤くなっているのを見たからだ。
マリアムに心配させないように、と。隠しているのだろうそれを指摘するのはやめておくことにする。
何より、二人が楽しそうだったので水を差したくなかった。
カシムにとって二人は家族で護るべき対象だった。二人が笑っていられるならそれが何より優先するべき事だった。
アリババへの感情は正直複雑な時もある。
家族で親友で、誰よりも近い位置にいるはずなのに、誰より遠くに感じたりする。言い様のない感情を抱え、それでも。
二人が笑っていられるなら、溢れるほどの花束を集めてやりたいと思うのも事実なのだ。
【ジュダアリ】2012/1/11
ジュダアリの『汚したかった』という台詞を使った「暗い場面」を作ってみましょう。 診断メーカーは何故人の脳内を透けて見えているかのような結果を出してくれるんだい? わーい。
狡い、そう思った。
世界の後ろ暗さも汚さも残酷さも知っていてそれでも尚、光を失わない眼差しが。白いルフに愛されているかのようなその魂が。
絶望を味わえばいいと思った。黒いものを纏えばいい、世界を憎めばいいと。
「俺は…お前を、汚したかったんだよ」
【カシアリ】2012/1/11
アリババが低い声で「嬉しくない。…嬉しくないよ」と言う愛のある話を萌えなかったらかいてください。 萌えちゃったから書いたらいかんのかしら。
他愛ない話の最中だった。昔の話をしていた中で、カシムが何気なくお前は王子様だもんな、と言ったのだ。
皮肉でも何でもない、ただ淡々と事実を述べているような口調で。
けれど、アリババは笑えなかった。見えない線を引かれたような、壁を作られたような気がした。
付き離される。一人にされる。
胸の奥を軋ませるような痛みに、唇を噛む。
「嬉しくない。…嬉しくないよ、そんなの」
ああ、笑いながら冗談にしてしまえれば良かったのに。こんな低い声じゃ、それも出来ない。
【支配される事を恐れる男が選んだのは支配すること/ファティマー】 2012/1/17
獣は好きだ。彼らは嘘を吐かない。
人が怯える毒の爪も牙も、きっちりと調教し主従を覚えさせれば何より強力な武器となる。
常人では太刀打ちも逃れる事も叶わない。その翼からも、脚からも。
【カシアリ】2012/1/21
アリババがコンビニに寄ったのはたまたまだ。
雨も降っているしまっすぐ帰るつもりだったのだが、ふと今日がカシムがいつも買っている雑誌の発売日だと思い出したのだ。
冷えるしついでに肉まんでも買って帰ろう、とビニール袋片手に店を出た所でアリババは動きを止めた。「……傘がない」
傘立てに差したはずの傘が、消えていた。コンビニの中にいたのはそう長い時間ではなかったのに。
アリババが使っていたのは何の変哲もないビニール傘だ。だからこそ間違って持っていかれないようにと持ち手に柄付きのテープを貼っておいたのだけれど。
「またかよ……」
思わず呻いた。何故か、昔からアリババにはこういう事がよくあった。
カシムに言わせると「お前基本的に運が悪いんだよな」ということらしいが、勿論貰って嬉しい言葉でも評価でもない。
ものの数分で消えてしまった傘は、今頃誰かの頭上で雨を受けているのだろう。せめて大事に使われますように。
悔し紛れにそんな事を考えながら、鞄から携帯を出した。数回のコール音の後、通話が繋がる。
『んだよ、お前今どこ』
「……コンビニ。傘盗られた」
『はあ?またかよ、学習しねえなお前も……』
ため息交じりに言われ、思わずムッとする。誰の為に寄り道したと思ってんだ、と。
そもそも人の物を盗っていく奴が悪いのに。苛立ちのまま口を開こうとして。
『店ん中で待ってろ。迎え行く』
「……ん」
元々傘を持ってきて貰おうと電話をかけたのだけれど、いざ言われると何となく気恥ずかしいような気がして大人しく頷く事しか出来なかった。何が、かはよく分からない。
カシムはきっといつも通りに少し面倒そうな顔でやって来るのだろう。
まんまと傘を盗まれたアリババを馬鹿にして、それから帰るか、と言うに違いない。
部屋に着いたら買った雑誌を手渡そう。どんな顔をして、何を言うだろうか。
「カシム」
『んだよ』
「…待ってっから」
早く顔が見たい、なんて思うのはきっと冷たい雨模様のせいだ。
帰って、暖かくした部屋でいつも通りに何の変哲もない会話を交わせば、きっとすぐに日常に紛れてしまうような感情。
寂しいような、もどかしいようなそんな感情が伝わったのか否か、カシムが告げたのは。
『…いい子にしてろよ?』
く、と笑いながら囁かれた言葉がすぐには理解できず、けれど脳内で意味を結んだ途端に思わず頬が紅潮するのが分かった。
「なっ! …に!」
その言い回しは狡い。二の句が告げないアリババを余所に、電話はふつりと切れた。
「……くそ」
雨はまだ止まない。
【カシアリ】2012/1/23
「カシムーコーヒー入った」
「ん…ってクソ甘ぇ!」
「あれ、渡し間違ったか?」
「ちょ、さっさとそっち寄越せ!」
「んだよお、大げさな…」
「お前それ砂糖水だぞ、コーヒーじゃねえ。そんなもんコーヒーへの冒涜だ」
「何かよく分からんけど馬鹿にされてんの俺?」
「…次からは俺が淹れる」
【ジュダアリ】 2012/01/26
「みーっけ!」
言葉と同時、首に巻いている紐をぐんと背後に引かれた。容赦のない力に首が絞まり一瞬息が詰まった。
「ぐ、こ、このアホ!死んだらどうすんだ!」
「ハァ?何いきなり怒ってんだよ」
きょとりと首をかしげる様子は、自分が悪い事をしたとは微塵も思っていない顔だった。
【カシ←アリ】2012/01/26
流れ星が願いを一つ、叶えてくれるというのなら。空に煌めく星全て、流れてしまえばいい。
それぐらいなら、誰に話したこともない、胸の奥にあるこの願いも叶いそうな気がするから。
もう一度、そう、もう一度、俺は。
【カシアリ】 2012/01/29
なんとなく、とか。酔っていたから、とか。
まあ多分理由なんて幾らでもこじつけられるのだけれど。ともかくまあ、そんな気になったので。
「ひあっ?!」
引き寄せたアリババの耳に、齧りついた。
「なんつー声出してんの、お前」
「な、なん、なん…っ」
余程驚いたのか、アリババは耳を両手で覆って口をぱくぱくと開閉させている。
初めは何が起きたのか分からない、という顔だったのが、何をされたか理解したと同時に音でも出そうな勢いで頬を紅潮させた。今時生娘でもこんな反応しないのではなかろうか。
「何、その顔」
「いや、だってお前今、か、噛ん…?」
「噛んだ」
「何平然としてんだよっ!」
「べっつに、減るもんでもねーだろうが」
べ、と舌を出しながら言えば何やら複雑な表情でうう、と唸る。
言いたい事があるなら、言えばいいのに。そこで黙るから、お前は。
「な、に……カシム?」
「減るもんじゃねーし……もっと色々、遊ぼうぜ?」
俺みたいのに、付け込まれんだよ。
【カシアリ白会話文】 2012/02/25
「ま、俺が一番お前んこと分かってっしなあ?」
「付き合い長いもんなー」
「お、俺だってアリババ殿が好きですッ!!」
「…へ?」
「あ、いや、今のは、今のはですね…!」
(カシム爆笑)
結論:さんにんとも愛しい
【数年後設定でアリババvsシンドバッド】2012/2/27
アリババ「体が覚えてるもんなんですねぇ。今でも貴方に勝てる気がしますよ」と、口元の血を拭う。
5年後くらいのアリババで「今なら」にしてシンにこれ言ってくれ
口中に溜まった血を吐き捨て、唇を拭った。肋骨が数本イったようだ。
だが、剣を持つ手は緩まない。
「魔装は…久しぶりなんですけど」
足だって震えていない。
「体が覚えているもんなんですね、今なら…貴方に勝てる気もしますよ」
まだ、戦える。強がりではなく、ふっと笑う。
「ねえ、シンドバッドさん」