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サークルHHAAの運営するまったり同人ブログ。
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重なるまなざし、違うひと


誰得捏造マイナーと言われ謗られ笑われようとも、一度思い付いたからにゃあ避けて通れぬ道がある…
道がなくとも踏み出す度胸を携えて、一意専心書き上げましょうその妄想!

そんなこんなでただでさえカオスなサイトを更に混沌とさせる話を書いたわけです。

『ムー×アリババ』で『唇にキス』『笑顔』を使った『原作沿い』なお話を書きましょう。

なんて診断結果に滾ったせいです。
まだ…原作で出会ってもいないのに…それでもやったぜ…
マス←アリ前提のムーアリっていう、もうホントに誰得なのっていう…いう…後悔はしていない!

アリババはレームにいるわけだし、今後の展開で接触しないわけがないよなー、と思いつつ。
先走った感が否めない話なので、ムーの口調とか性格とかが完全に空想の域ですね!
これから絡むだろうにそれが待てなかったんだよ…妄想は急には止められないのだよ閣下…
さあそんなわけで!
何があっても大丈夫という猛者のみこの先に進むが良いですぞ!

 





重なるまなざし、違うひと


「それで、君の知る同族と俺はそんなに似ているかな?」

 闘技場で戦ううちに、アリババは段々と名を上げていった。
 そんなある日声をかけてきたムーという男は、ファナリスだった。
 しかしアリババの知る二人のファナリスとは性格が全く異なることに驚き、ムーがレーム帝国の一兵団を任されていると聞き更に吃驚した。
 ムーは帝国内では名が知れているらしい。周囲の人間の視線や態度を見ればそれはすぐに分かった。
 何故そんな高名な人物が一剣闘士に過ぎない自分に声をかけてきたのか分らずに問うと、強い人間に興味が湧くのは当然だろう、と返された。
 アリババには正直その感覚は良く分からなかったが、ファナリス程の力を持っていればそういうものなのかもしれない。

 何度か話をして思ったのは、ムーはモルジアナともマスルールとも全く違うという事だった。
 勿論違う人間なのだからそれは当たり前なのだが、無口であまり表情の変わらなかった二人に比べてムーはよく喋ったし、冗談を口にしたりもするし、何より頻繁に笑顔を見せた。
 特徴的な目元も髪の色も間違いなくファナリスのものでありながら、あまりにも自分の知る二人と差異があるからかその事実を忘れそうになる。
 それでいて、ふとした瞬間に見せる表情や横顔がどきりとする程にマスルールを思い起こさせたりするから、そのた度心臓に悪かった。
 ムーの笑った顔を見ながら、マスルールも笑えばこんな風に人懐こく見えるのだろうか、と考えたりする。

 思えばマスルールはモルジアナよりもずっと表情が変わらなくて、最初のうちは怒っているのか何を考えているのか分からなくて内心でやたらどぎまぎしていた事を思い出した。
 顔を合わせる回数が増えるうちに段々と人となりが見えてきて、口数が少ないながらも優しい人だとか、黙っている時は特に何も考えていないだとか、分かっていく毎に無駄に緊張する事はなくなっていった。
 マスルールがムーのように全開の笑顔を見せる所など想像出来ないし、しなくていいとさえ思う。
 たとえ言葉にしなくとも、表情に出さなくても、アリババはマスルールが優しい人だと知っているからそれでいい。
 本来は人にを気遣う事の出来る人なのに、外見から畏怖されてしまうのは正直残念ではある。だがマスルール本人が気にしていないのだから、きっとそれはそれでいいのだろう。

 何がきっかけでマスルールに惹かれたのか、アリババ自身にもよく分からない。
 多分、これといって劇的な何かがあったわけではなく、手の隙間から砂が零れ落ちるかのように少しずつ傾倒していったのだと思う。
 気付いた時にはこのひとが好きだなあ、と至極穏やかな心地を抱いていた。焦がれる程の激情でもなく、ただ当たり前にその気持ちが胸の中にあった。
 性格も言動も違うムーと接していて、マスルールを思い起こす事は少ない。
 だというのに、そのほんの時折の動揺をムーには見透かされていたらしい。

 飲みに誘われ数杯空けた後に、冒頭の一言をどこか楽しげに言われたのだった。
 そこからはまあ、根掘り葉掘りアリババの心境を聞き出された。
 元々知り合いにファナリスがいるという話はしていたから、ムーは終始面白そうな表情でアリババから言葉を引き出す事に専念していた。
 本人は勿論のこと、誰に教えるつもりもなかった胸の内を明かしたのは、ここがシンドリアから遠く離れた地だからという理由が大きかったかもしれない。
 ムーがマスルールと顔を合わせる事はないだろう、と。
 心の内を吐露してから、本当は誰かに言いたかったのかもな、と気付かされた。

「で、告白はしていない、と」
「……まあ、そういう事になりますね」
「言ってみればいい。話を聞く限り真摯な男のようだし、無碍にはしないんじゃないか?」
「そうでしょうけど……俺、マスルールさんとどうこうなりたいって考えたわけじゃないですから……」 

 強がりでも何でもなく、事実だった。
 好きだと自覚しても、マスルールとどうにかなる自分は想像出来なかったし、何かしたいと願うでもなかった。
 ただ、好きだと思って、それだけでいいと。
 カシム辺りはアリババがそんな事を考えていると知ればこれだから童貞は、とでもバカにしきった顔で言いそうだけれど、事実どうにかしたいと思えないのだから仕方ない。

「欲がないなあ」
「踏み出す勇気がないだけって言ってくれて構わないですよ」
「まさか。それだけ相手が特別ってことだろう?」
「……物は言いよう、ですね」 

 特別、だなんて言い方をするのは何だかくすぐったいような気になる。その言葉を否定する気はないが、自ら口にする事は何となく憚られた。
 アリババの様子を見て軽く肩を竦めたムーが、不意に何か思い付いたような顔をした。
 どうかしましたか、と口にするよりも早く、唐突に腕を掴まれる。
 日々の鍛錬を欠かさないアリババは決して華奢ではないのだが、そもそもの体躯が違うからだろう、ムーの手に掴まれた腕はやたら細くて何だか枯れ木のようにも見えた。
 大人と子供、と言い換えてもいい。男として多少複雑な想いを抱かないでもないが、元々の体格が違いすぎるので悔しいとまでは感じなかった。
 そういえばマスルールさんの手も大きかったなあ、と。
 無謀にも腕相撲を挑んだ時の事を思い出して、少し笑った。
 やけに近い距離にあるムーの目が、驚いたように丸くなる。虚を突かれたような表情はまるで子供のようだった。

「そうだね、俺に言わせれば」
「はあ」
「そうやって笑って、キスの一つでもすれば」
「……え?」
「落ちるんじゃないかと思うよ」
「ん?」

 同じ民族だけあって、やはり間近で見るムーの目元はマスルールのそれとよく似ていた。
 一瞬の後に唇を掠めた熱は、ひどく優しかった。


 ◆


 ムーがアリババを最初に見たのは、闘技場の観客席からだ。
 珍しく剣闘を見物に訪れたシェヘラザードが気にしていたから、それでアリババの顔を覚えたのがきっかけだ。彼女が気にしていなければ、よくいる新人の一人として流し見ただけで、個人として認識するのはもっと後だったに違いない。
 それとなく素性を調べるうちにアリババがシンドリアからこの地へやって来たのだと知り、レームの内情を探りに来た間者の類かと警戒したのがその次。
 探りを入れる為に近付いて話をするうちに間者ではないと分かったので、そこで接触を断っても良かった。
 だがアリババにはファナリスの知り合いがいるらしく、異国の地での同胞がどうしているか気になり足を運ぶようになったのが、更に次。
 そのまま何となく疎遠になるきっかけもないまま、そう多い頻度ではないが食事をしたり飲みに行ったり、という関係が続いている。
 それが現状だ。 

 話術に精通しているというわけでもないのだろうが、アリババと話すのは楽しいものだった。
 基本的に人と関わる事が苦ではないらしく、話題の引き出しもそこそこにある。
 聞けば一時期商売人になろうと考えていたとかで、その時に磨かれた巧手なのだろう。
 警戒しなくていいと分かれば、付き合うのは気楽なものだ。間者かと疑った時には癖のある人物だろうと思ったからか、話してみると存外に素直な性格だったことに拍子抜けした感はあった。 

 頭の回転が早いらしいアリババとの会話はなかなかに面白かった。
 少しばかり年の離れた友人が出来たような気分で接しているうちに、ふと気付く。
 向けられるアリババの視線にほんの時折だが宿る、熱のような感情に。
 頻繁なものではないし、本人も抑えてはいるのだろう。だが、抑えきれない感情の端が時折覗くのだ。
 彼が知っているというファナリスの話は、色々と聞き及んでいた。
 アリババよりも年下の少女と、ムーよりか幾許か年下らしい青年と。
 どちらに重ねて見られたかなど、考えずとも明白だった。 

 興味本位で聞き出していけば、アリババは想いを告げる気はないのだと言う。
 そう決めるに至ったのは感情的な問題だけではなく、背後に色々と何かあるのだろうとは思ったがそれでも尚言えばいいのにと思った。
 思うままにそう口にすれば、アリババはどこか寂しげな顔で曖昧に笑って。
 酔いもあってかやや紅潮した頬で目線をふわふわと彷徨わせるアリババは、何だかやたら寂しそうに見えた。 

 最初は多分、慰めたかった。
 少し乱暴に頭でも撫でて、冗談混じりに何か言おうと、そんな風に考えていた。
 掴まれた腕を見下ろしたアリババが、何を思い出したのかへにゃりと笑ったりしなければ。
 気の抜けたような表情なのに、その笑顔はやけに目を惹いた。
 アリババが今見ているのは、ムーの手ではない。シンドリアにいるという同胞、その手のひらを思い出しているのだろう。
 触れる事を許し許される程の距離感だったのなら、相手もそう満更ではなかったのではなかろうか。
 あくまで自身が基準だが、友好的に感じている相手以外にはわざわざ手を伸ばしたりはしないだろう。
 アリババは決して頭が悪いわけではなさそうなのに、何故かそういう細かい機微に気付かないらしい。

 唇を重ねたことに、深い意味合いはなかった。
 強いて言うなら、少し。ほんの少しだけ、アリババに意趣返しのような真似をしてみたかったのだ。
 アリババの目の前にいるのはムーなのに、別の誰かを重ねて見ているのが面白くなかった。
 遠く離れたシンドリアの地にいる同胞の青年は決してしなかったであろうと思ったから、そうしたまでだ。
 ほんの一瞬だけ触れて、すぐに離れて。
 ついでに掴んでいた腕も解放してやれば、アリババは何が起きたのか分からないようできょとんと瞬きなどしていた。
 闘技場に立っている時の顔からは想像できないような、子供のような表情をする。
 ムーが思わずふ、と笑ったのと、事態を把握したらしいアリババが音でも立てそうな勢いで赤面したのとがほぼ同時だった。

「え、え、え……っ? あの、今っ」

 慌てているらしいアリババの声が裏返っていて、ますます可笑しくなった。
 年齢からいっても何も知らないわけなどないのに、アリババは随分と初心らしい。
 虚を突かれたというより、おそらくそういう経験があまりないのだろう。だからこんな時どう対応したらいいのか分からないのだ。そうして、戸惑い焦っている。
 口づけたとは言っても、ほんの掠める程度のものだ。挨拶だと言ってしまえばそれで終わらせられるぐらいの。
 それなのに大袈裟な反応を見せてくれるものだから、ついもっとからかいたくなった。
 笑いながら手を伸ばし、指先でアリババの耳の後ろ辺りを悪戯にひっかく。肩が跳ねるのが見えた。

「な、んですか」
「うん。本気の見せ方を教えようかなと思って」
「いや、あの、待ってくださ……!」 

 落ち着かなさそうに視線を彷徨わせていたアリババが、ムーと距離を取ろうとしたのか椅子を立ち上がりかけて。
 混乱していた所為かそれとも酒の所為か、どちらが要因かは分からないがともかく、ぐらりとバランスを崩した。
 傾く視界に気付いたらしいアリババの口が、ぽかんと開いている。手を付こうと思ったのか、指がぴくりと動くのが視界の端に写った。
 だが、それよりもムーの手の方が早かった。

「ぅ、わ?!」 

 腕を掴んで、引く。
 力の加減はしたのだが、アリババの目方がムーの予想よりも些か軽かった。
 結果として何が起こったのかと言うと、引き起こされたアリババはそのままムーの膝の上に収まる体勢になっていた。
 双方、黙り込む。
 ムーの膝に乗ったアリババは、自然見下ろす形で。いつもとは逆に見上げる格好になっているムーは、呑気にこれはこれで新鮮だな、などと考えていた。
 酒が入っているからか生来のものかは分からないが、アリババの体温はムーのそれよりも随分と高いように感じられる。
 いっそ熱いくらいに感じられて、何だか煽られるような。
 そこまで考えて可笑しくなった。児戯のような口づけ一つで放心し赤面するような、あからさまに性的経験が殆どないらしい同性に煽られる、だなんて。
 けれど間近で見上げるアリババの頬はまだ紅潮したままで、次いでに言えば目が潤んでいたりもして。
 なくはない、なんて思えてしまう辺り自覚はあまりないが酔いが回っているのかもしれない。

「……えっと」 

 何故こうなったのか、どうしたらいいのか、何を言えばいいのか。
 迷い混乱しているらしいアリババが、子供のように呟いた。
 シンドリアにいる同胞は、こんな表情を目にした事があるのだろうか。知っているとすれば、何を思い何を言ったのだろう。
 アリババは想いを告げる気はなかったようだが、隠しきれずに覗く感情の一端を間近で見ているとしたら自ずと気付く筈だ。余程鈍感か朴念仁でない限りは。
 そんな眼差しで見られて、悪い気のする人間はなかなかいない。おそらくは同胞もそうだったのではないだろうか。
 全ては推測でしかないけれど。

 けれどアリババは今、その目を向けていた同胞ではなくムーの膝の上にいる。
 何の因果か、それとも彼との出会いすらルフの導きの一つなのだろうか。ルフを目視したことのないムーにはよく分からないし、正直シェヘラザードが口にした言葉でなければ覚えてもいなかったに違いない。

「さて、どうしようか」

 まさかこうなるとは思っていなかったから、ムーの言葉は本心から出たものだった。
 アリババが何を返してくるか、どうするか。
 予測がつかないからこそ、面白くもあった。
 剣を構え対峙しているのとはまたどこか違う高揚感。
 ムーの前で、アリババがゆっくりと唇を開いた。

 さて、どうしようか。

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