あなたに贈るネタは【甘々】【SM】【こっち来るな】【息が荒い】【一生離さない】を基にしたカシアリです。
という診断メーカーさんからの要請を受けて。
カシアリはシリアスと甘いのとのターンが割と交互くらいに来ます個人的に…
今回は甘いというかギャグっぽいノリで。
描写してないけど現パロ設定。

勝手にやってろ。
「ちょ、ま、待て待て待て待て、落ち着けって、早まるな、な?」
両手の掌を相手に向けて、制止のポーズを取る。
この程度で止まってくれるわけもないなんて事は分かっていながら、それでも現状を諾々と受け入れるわけにもいかず何とか説得を試みていた。
じりじりと距離を取ろうとしていたのだが、背中が壁に当たりこれ以上は下がれないのだと知らされた。
「んだよアリババ、何逃げてんだ」
「逃げてない、逃げてないから。だからちょっと落ち着けカシム。ちょ、こっち来るなって!」
扉は正面、しかしそこに行き着くには目の前にいるカシムをどうにかしなければならず。
体当たりか殴り倒そうかとも考えたが、すぐにその案は却下された。
……接触した時点で捕まる未来しか見えねえ……
背中を厭な具合に冷たい汗が伝っていくのが分かる。
「平気だって。最初はソフトなのから始めてやるから」
「息が荒くて怖ぇんだよぉおおおお!」
何故こんな事になったのか。正直泣きたい。しかし今泣いていては流される。
捕まって流されてそういうプレイが日常的になってしまう。
想像して鳥肌が立った。
「いやーまさかお前がSMに興味あったとはな」
「そこまで言ってねえよ! どんな気分なのかなーって言っただけじゃん!」
「入口はみんなその程度だ」
カシムが右手に持っている縄が怖い。
いつからどこからそして何故常備されていたのか。聞きたいけれど聞きたくない。
「詳しそうなのが怖いんですけど、俺はそれを突っ込んだ方がいいのか聞かなかった事にした方がいいのか」
「好き嫌い別れるからなー、相手次第では隠してんだけどよ」
「俺にも隠しておいていいから!」
「何言ってんだアリババ」
唐突にカシムの声のトーンが落ちる。
怒らせたか、とぎくりとするが、カシムの表情は怒りのそれではなく、真剣そのものだった。
まっすぐに向けられる視線に射抜かれるような気さえして、状況も忘れてどきりとする。
「俺はお前を一生離す気はないし、お前だって離れるつもりねえんだろ?」
「お、おう」
豹変したカシムの雰囲気に気圧されながら頷く。
だが、カシムと離れるつもりがないのは本当の気持ちだった。
「じゃあよ、隠しごとはない方がいいだろ」
「……うん、まあ、そうかもしれな……」
「よし、じゃあ始めるか」
にっこり笑ったカシムに腕を引かれる。
しまった逃げるべきだった全部策略だった、と気付くも時すでに遅し。
ビシリ、と音がしそうな勢いで固まったアリババに、カシムは苦笑した。
腕が離され、額と額が合わせられる。
「どうしても厭だっつんなら、やめるけど」
優しい声と言葉に、ずるいと胸中で呟いた。
だって、こんな声で、こんな顔で、言われたら。
俺がこの期に及んで拒否出来るわけ、なんて。
「日常に戻れそうなレベルで……オネガイシマス……」
つまりはまあ、恋人同士のじゃれあいなんて。
勝手にやってろ。と、いう話。
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