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神官の髪結い

ジュダアリシリーズ物、無前のひと第六段。
初心に戻ってジュダルとアリババの二人の話。

てゆかこのシリーズこんなに書く予定なかっ…
楽しいので! よし!!
…としとこう。うん。





  無前のひと。6


「あーこら、ジッとしてろって」
「ひーまー」

 何をしているのか、と言えば。
 アリババはジュダルに乞われて、彼の髪を結っていた。
 いやもっと慣れた人に頼めよ、とも、何で俺に、とも言ったのだけれど。
 何故か頑として譲らず、結べよ、お前がいい、お前じゃなきゃヤダ、と言い張られ押し切られたのだった。
 ……押しに弱いのは我ながら何とかしなければと思うのだが、ジュダル相手では押しに強かろうが弱かろうがあまり関係ないかもしれない。
 他の人はどうやってスルーしてるのかな、と溜め息を吐きつつ、無視出来ないのだから相手をするしかない。

「お前が結べって頼んで来たんだろ? ホラ、動くな」
「早くしろよぉー」
「結ばせる気あんのか!」

 ちっとも落ち着かないくせして文句ばかり言うジュダルに、流石に苛立ったアリババはぺち、とその後頭部を叩いていた。
 勿論、そんなに力を込めてではない。ほんの軽く、だ。
 けれどそうしてから、しまったこれジュダルだった、と思い至り血の気が引いた。
 寝台に潜り込まれるようになってからのここ最近、どうにもジュダルに対しての認識が「淋しがりの子供」だったものだから、つい。

 ぴきんと固まったアリババだったのだが、予想に反してジュダルは暴れ出したり声を荒げたりはしなかった。
 それどころか、言う事を聞いたかのように、それまでそわそわとしていたのに動くのを止めたのだ。
 驚き、そっと様子を窺う。

「……ジュダル?」
「結んでほしいけど、頭触られんの、何か気持ちいーから、だから」

 後半は、もにょもにょと口の中で言っていて聞き取れなかったのだけれど。
 アリババはジュダルの後ろにいて顔を見られなかった事を、心の底から感謝した。
 だってそんな、頭撫でられるのが嬉しいとか、何でそんな可愛らしい事を言うのか! と。
 ねえお前そんなキャラだったっけ? もしかして偽物だったりしない? ねえ!
 思わず肩を掴んで揺さぶりながらそう問い質したい気分になったアリババを、誰が責められようか。

 笑えばいいのか嘆けばいいのか、半々な気持ちを抱えてぷるぷると若干震えながら、ジュダルの髪を結うのを再開する。
 黒い髪は少し固いけれど、手入れはきちんとされているのだろう、艶もあり美しかった。
 アリババ自身はここまで伸ばした事はないけれど、見ている分にはここまで長いと圧巻だ。

「上手く結べるか分かんねーぞ、最初にも言ったけど。人の髪結ったことなんかないんだからな」
「別に、いい。髪なんかいっつも適当だし」
「ふうん? 今まではどうしてたんだよ」
「テキトー。女官がやったりとか」

 至極どうでもよさそうに、ジュダルは答える。実際どうでもいいのだろう。
 ならなんで俺んとこ来たんだよ、とは。
 聞かずにおいた。
 何となく、聞いてはいけないような、踏み込んではいけない領域のような気がしたから。
 聞いてしまえば、戻れなくなるような予感がしたから。どこに、かなんてアリババにもよく分からなかったけれど。

「何だかなあ、もっとちゃんとしろって。せっかく綺麗じゃん、お前の髪」
「そう言うなら、お前がやればいい」
「はいはい。うーん……俺も伸ばそうかなー」
「え、ダメ」
「即答かよ。言ってみただけだし。手入れが大変だからなあ、こんなに長いと……」

 言いながら、梳いた髪を少しずつ編んでいく。
 見様見真似だから、やはり上手く行かず何度か編んでは解きを繰り返した。
 けれど数回やるうちにコツを掴み、何とか形になってきた。
 器用とまでは行かずとも、細かい作業が苦ではないからこそ、だったのかもしれない。

 だから、ジュダルとの会話に特に深い意味などなかった。
 沈黙が気まずかったのと、あまりジュダルに暇を感じさせるとまた動き出しそうだったから、というのがせいぜいの理由だ。
 アリババ自身は髪の長さに特に拘りはないが、やはり日々の手入れや動きやすさを考えると自然と今ぐらいの長さに落ち着いてしまう。
 バルバッドの王宮に居た頃に少し伸ばしたりもしたが、それもジュダル程に長くはしなかった。

「……よし、終わり。これでどうだよ」
「結んであるならそれでいいし」
「ちょ、せっかく結ったのに張り合いねえなあ」

 ややあって結い終わった。
 達成感に浸りつつ報告するが、ジュダル相手なだけあって、反応は芳しくなかった。
 仕方ないので、初めて人の髪を結った割には上手く出来たのではなかろうか、と自賛してみたりする。
 少し離れた位置から眺めてみて、何だかぎこちない感じがするかな、と首を傾げ。
 根元の辺りはきつくないだろうか、と近付いて様子を見た時だった。

「髪伸ばしたら、この金色が綺麗だって気付く奴が沢山出てくるから。だから、ダメ」

 ぐい、と首に腕を回され、引き寄せられる。
 まさかそんな動きをされるとは思っていなかったアリババは、ひどく無防備にジュダルの腕の中に納まっていた。
 あれ、何これ。
 理解が追いつかず、ぱちぱちと瞬いた。
 そんなアリババに構わず、ジュダルは何やら上機嫌で。

「だから、伸ばすな」

 いやそれ、お前に許可とらなきゃいけないこと?
 別に伸ばすつもりもないんだけど。
 言いたかったのに、咄嗟の事で言葉が出て来ない。
 何がどうなってこうなってしまったのか分からず、そしてまた距離を取るべきか否かも分からなかった。
 ジュダルとの距離の近さに、知らず慣れてしまっていたらしい。
 動揺したのは、近すぎる距離に拒否や嫌悪を感じなかった自分自身に、だった。

「この色は、俺だけが知ってればいいよ」

 ふっと、ジュダルが笑った気配がして。
 抱え込まれた頭に、唇が落とされた。


END


懐かれました。
っていう話。
なんか段々お母さんと子どもみたいになってき…(以下略)
 

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